Chelsea Factory

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土曜日, 11月 11, 2017

チェルシーの業績推移

チェルシーはアブラモビッチのおかげ倒産を免れ、大幅な戦力補強ができた。
どれぐらい、アブラモビッチに頼っているか、この13年間の業績推移を下に添付した。
前の奥さんと、初期のアブラモビッチ。前に座って
いる子供が今では生意気そうな若者になっている。
なんと、黒字になったのは僅か2年だけ、それ以外の11年間は赤字、合計純損益は驚愕の累積赤字△£758Mil、数字が大きすぎて読めない人がいるかと思うが、赤字7億5千8百万ポンド。 1ポンド150円換算で1,140億円に相当する。 総収入の約1/4が赤字。

こんな業績で一般の企業は成り立たない。
しかし、チェルシーの場合、借入金はゼロ、金利の支払いも心配する必要はない。
アブラモビッチは不足資金を貸付金ではなく、金利支払い、返済の必要がない資本勘定に投入して、自己資金で賄っている格好にしている。 
言い換えると、金利を生み出したり、将来返してくれることを期待してお金を出しているわけではない、ということ。 一説には、投入した資金の総額は£1.4Bil、14億ポンド、約2,100億円に達するとか。

これは、ちょっとやそっとのお大尽でできることではない。そこら辺のスーパーマーケットのオーナーや勘違いした成金ではとても太刀打ちできない。エルトン・ジョンやロッド・スチュアートでも、遠く及ばない。リーグが違う。
アブラモビッチ以降、Man U、Arsenal、Man City、Liverpoolも各国の大金持ちが経営権を所有するようになり、今ではアブラモビッチは必ずしもプレミア最大のお金持ちオーナーではなくなった。しかし、アブラモビッチ以外は皆将来的な見返り目当ての投資、経営権取得であり、ざるに水を注いでいるようなアブラモビッチの投資(揶揄しているのではない、感嘆と尊敬の念を籠めている)とは違う。
唯一、アラブのシークMan Cityだけがアブラモビッチ以上にひたすら資金投入しているが、関連会社がスタジアムの命名権を買ったとか、形の上ではここまで赤字を表には出していない。
そう言えば、最近ブリッジであまり
見かけないようで、気がかり。

因みに、15/16年の総収入3億ポンド強のうち、テレビ放映権、その他コマーシャル収入が3/4を占め、入場料収入(match day revenue)
は7千万ポンドしかない。スタジアムの収容人員を1.5倍にしてもそれで得る増収は3-4千万ポンドで、赤字の額から見てたかが知れている。経済的に見てそのために5-6億ポンド投資する必然性は見当たらない。
16/17年の業績は早ければ来週中に発表されるらしい。先期特別損失を計上した見返りに相当するナイキからの商標権使用料が5-6千万ポンドが入ってくるので、相当の黒字になるのでは、と期待されているが、焼け石に水のようだ。

それでも、チェルシーファンはもっと金を出してあの選手を獲れ、この選手を獲れ、ボードは何をしているのだ、とうるさい。イギリス人を中心とするチェルシーファンの誰一人、こんな懐事情は考えてないように見える。
とにかく、チェルシーファンとしては、アブラモビッチ様には足を向けて眠れない。

 
   
Chelsea FC 業績推移 (単位:百万ポンド)
(アブラモビッチ買収後)
年度
総収入
純利益
 2003/04
120.0
-87.8
*
 2004/05
149.1
-140.4
 2005/06
152.8
-80.2
 2006/07
190.5
-74.8
 2007/08
213.1
-65.7
 2008/09
206.4
-44.4
 2009/10
209.5
-70.9
 2010/11
225.6
-67.7
 2011/12
255.7
1.4
 2012/13
255.8
-52.0
 2013/14
319.8
18.4
 2014/15
314.3
-23.1
 2015/16
329.1
-70.6
**
累計
2,941.7
-757.8
(25.7%)
* 03/04年総収入は推定。
** 15/16年特別損失計上前純利益
   £4.7Mil 特別損失 £75Mil

数値は主としてGuardian紙からの引用。一部記事によって微妙に数値が異なることがあるが、適当に正しそうな方を採用した。いずれにしても大差ない。(元資料はCompany Houseへの登録数値の筈。)

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